本コーナー「ドイツビジネス情報」では、ドイツ国内の時事ニュースを掲載しております(抄訳)。さらに詳細が知りたい、取り上げて欲しいトピックがあるなどのご要望がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

ハンブルクで水素施設の建設が相次いで決定

独大手エネルギー大手Uniper SEとエネルギーメーカーSiemens Energy AGは共同で新会社HH2eAGを設立し、ハンブルク市モーアブルク地区に次世代発電所を稼働する。産業向けに水素を提供するほか、燃料電池車への水素供給も計画されており、セクターカップリングが注目される。また水素からできるだけNOxの少ない高効率のガスタービンで発電を行い、さらに地域間熱供給と電力供給を行う予定。ハンブルク市は水素モデル都市を目指し、産業レベルの水電解施設の積極的な誘致を行っている。先月もShell、Vattenfall、三菱重工のコンソーシアムが同じモーアブルク地区に100MW以上のキャパを持つPower…

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コロナ災禍におけるドイツの中小企業支援策

ドイツ国内で始まった都市封鎖もすでにまる2週間を超えた。開始当初は一時的に買い占めが起こったり、公園などで遊ぶ子供連れが見られたりしたが、今は市民も新しい状況を受け入れ、再び落ち着いてきているように見える。 日本でも日々感染者数の増加が認められ、政府から不要不急の外出を控えるよう呼びかけが続いている。だが、ドイツと日本の決定的な違いは、ドイツで取られている措置は連邦政府が定めたコロナウィルスの防疫ガイドラインに基づき、各州が政令として発表した「法的根拠」に基づくものであるということだ。この政令は市民の行動制限と営業禁止について具体的に規定しており、例えば、全ての娯楽施設、飲食店、スポーツ施設、理美容院などの営業は禁止されている。また公私問わず、各種イベントの開催も禁止だ。ベルリンではこの政令が3月14日に発効し、4月19日まで有効である。この政令発布が、中小企業救済策でも決定的な役割を果たしている。 日本では現在のところ、すべての行動規制、営業停止は自粛がベースとなっている。自粛とは定義的には誰にも強制されず、最終的には自分の判断で行動規制、営業停止を行なっているということになるので、この状況に誰も補償を求めることができない。 ドイツでは法令があることによって責任の所在が明確である。今日から店を閉めるのは、お上のお達しがあるからである。この公的な介入で店を強制的に閉めさせられた事業主らは当然国に補償を求める。小売店、飲食業などの小事業者にとって、店じまいは一刻を争う事態だ。家賃に人件費の支払いが待ったなしにやってくる。ドイツ連邦政府と各州はガイドライン発表から、わずか2週間で小事業者向け救済案をまとめて見せた。連邦政府は「緊急救済措置(Soforthilfe)」として500億ユーロを補助金に充当した。個人事業主および5人までの従業員規模の企業に対して3ヶ月分として一括で9,000EURまで、10人までの従業員規模の企業に対して同じく15,000EURまでの補助金が支払われる。拠出は連邦と州とで分担して行なっているため、州によってはさらに従業員数50人までの企業について25,000EURまでの補助金を出す州(NRW州)もある。すでに3月30日より各州立銀行が窓口となって申請手続きを開始しているが、手続きは簡単にオンライン上で完了できる。納税者情報、登記番号、会社住所、口座情報などを入力の上、送信する。申請理由も該当するものをマルチプルチョイスで選ぶのだが、ここでも先の法令の存在が重要だ。条例で挙げられた営業禁止業態であるか、あるいは法令の発布日を境に著しい収益減退が認められるかなどが問われ、法令が決定的な参照点となっている。…

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経済から見たドイツの魅力

よいものはよい。よいものは高いドイツが日本と同じく製造業の国、モノ作り大国であることはよく知られたところです。でもその内情はずいぶん違うものに思われます。ドイツ製品はお客様に媚びません。万人受けしなくてもいい、自社のポリシーを 理解する人に使ってほしい。製品からそんなメッセージを受けることがあります。お値段もなかなかに媚びていません。よいものを作るにはそれだけの手間ひまがかかるのですから、当然と言えば当然です。そう、皆さん、突出してよいもの、革新的な技術が買いたたかれる理由なんてないのです! ニッチな分野で頑張る中小企業の存在日本と同じく、ドイツの産業を縁の下で支えているのはドイツ全企業数の 99%以上を占めると言われる中小企業の存在です。その中には大変ニッチな分野で活躍されている「隠れたチャンピオン」と呼ばれる会社もたくさんあります。彼らは自分たちの仕事に高い誇りを持ち、そして密かに日本の中小企業と同じ悩みを抱えていらっしゃることも……。同じ土俵で話をできる国は世界広しといえども、なかなかないのではないでしょうか。 標準化、規制。仕組みづくりにビジネスチャンスあり日本の経済社会を見ていて惜しいと思うのは、製品の差別化、企業内での取り組みに没頭するあまり個別化が進み、グローバルな目線で見たモジュール化、 標準化といった大局的観点が失われている点です。CE規格や、最近ではIndustrie…

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