ドイツビジネス情報
本コーナー「ドイツビジネス情報」では、ドイツ国内の時事ニュースを掲載しております。さらに詳細が知りたい、取り上げて欲しいトピックがあるなどのご要望がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
2022年3月ドイツエネルギー政策の動き
気候中立目標を2045年まで前倒ししたドイツのエネルギー政策が、ここにきて大きく足元をすくわれている。原子力、石炭火力から再エネ100%への移行期にそのギャップを埋めるはずであったガス資源の主要な供給元がロシアなのだ。ドイツは1日でも早く、露ガスからの脱却を図らなければならない。この3月は、1ヶ月で半世紀分のエネルギー施策が行われたのではないかと思われるほどの激動ぶりであった。既に日本で報道されている内容も多いが、この記事ではダイジェストでこの1ヶ月のドイツエネルギー動向を振り返りたい。
ドイツベンチャーキャピタル市場
ドイツのスタートアップは2019年、VCから57億ドルという記録的な投資を受けた。これまで最高とされた2018年の投資額からさらに49%増加した。 【図1:
Facts & Figuresドイツ風力発電
市場状況 2020年1年間にインストールされた風力発電機は陸上、洋上合わせて1341MWにとどまり、2018年以降連続で2000MWを下回る結果となった。ドイツの風力発電機は2017年の5334MWを最高に2018年は2402MW、2019年は944MWと低迷している。特に陸上風力発電でエミッション(騒音など)による住民反対から建設認可が降りないことが原因している。2020年からは再エネ法による助成が満了する風力発電機が出るため、これらが停止すれば、容量の増大が見込めないばかりか大幅な減少も免れない。2021年一年間に助成対象を外れる発電機は4,000台あり、その発電容量は3,600MWとなる。政府はこうした風力発電機に対して再エネ法による助成を2年間延長することを約束した。しかしどれだけの事業者がこの制度を利用するかは今のところ不明だ。政府は助成期間が終了した発電機の撤去後に、より容量の大きい発電機を建設する場合(リパワーメント)、その法的プロセスを簡略化する方針も打ち出している。連邦風力発電協会は2021年、2,000MWから2,500MWの風力発電機が新たにインストールされると予測する。しかし専門家らは政府目標(2030年までに少なくとも65%の消費電力を再エネ電源により賄う)を達成するには、毎年4,500MWから5,000MWの拡張が必要であるとしている。ドイツ以外の風力発電所建設はパンデミックの影響も受けず好調であり、2020年は業界の記録を更新した。とりわけ中国には昨年一年で45GW分の風力発電機がインストールされた。これは世界全体
EUタクソノミー規制
独エネルギー業界、EUタクソノミー規制について嘆願書を提出 EUでは現在、タクソノミー規制のサスティナビリティー概念を規定する技術的項目について調整が進められている。特にガス火力発電の取り扱いがエネルギー業界とEUとの間での争点となっている。業界側は石炭発電を代替するガス発電について諸条件を緩和するよう求めている。
コロナ災禍におけるドイツの中小企業支援策
ドイツ国内で始まった都市封鎖もすでにまる2週間を超えた。開始当初は一時的に買い占めが起こったり、公園などで遊ぶ子供連れが見られたりしたが、今は市民も新しい状況を受け入れ、再び落ち着いてきているように見える。 日本でも日々感染者数の増加が認められ、政府から不要不急の外出を控えるよう呼びかけが続いている。だが、ドイツと日本の決定的な違いは、ドイツで取られている措置は連邦政府が定めたコロナウィルスの防疫ガイドラインに基づき、各州が政令として発表した「法的根拠」に基づくものであるということだ。この政令は市民の行動制限と営業禁止について具体的に規定しており、例えば、全ての娯楽施設、飲食店、スポーツ施設、理美容院などの営業は禁止されている。また公私問わず、各種イベントの開催も禁止だ。ベルリンではこの政令が3月14日に発効し、4月19日まで有効である。この政令発布が、中小企業救済策でも決定的な役割を果たしている。